Citations:蹴る

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Japanese citations of 蹴る

  • 1896, 広津柳浪, 今戸心中:
    「畜生、畜生、畜生めッ」と、しばらくしてこう叫んだ善吉は、涙一杯の眼で天井を見つめて、布団を二三度蹴り蹴った
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  • 1900, 泉鏡太郎, 高野聖:
    軈て脊戸と思ふ処で左に馬小屋を見た、こと/\といふ物音は羽目を蹴るのであらう、もう其辺から薄暗くなつて来る。
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  • 1910, 小寺菊子, 父の帰宅:
    畳を蹴り頭をかゝへて彼は泣いてゐるのだ。
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  • 1919, 北原白秋, 神童の死:
    一時の驚駭と激怒と惑乱から父親はカツとなつて思はず、次郎公の面部をたたきつけ、一蹴り蹴つ飛ばした。
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  • 1922, 夢野久作, 章魚の足:
    といきなりその長い八本の足で達磨を蹴り飛ばしました。
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  • 1923, 有島武郎, :
    さうかと思ふとおんつぁんは毛嫌ひする老いた牝犬のやうに、勃凸をすげなく蹴りつけることもあつた。
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  • 1924, 江南文三, 佐渡が島のこと:
    私が始めて佐渡に渡つた時馬に蹴られましたが、佐渡の馬のよく蹴るのは、相川から南の峠を越した向ふの土地、相川の人の所謂ぜえ――在の意味です――の祭で馬の蹴合ひをやらすからだと聞きました。
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  • 1925, 新渡戸稲造, 国際聯盟とは如何なものか:
    国際会議に於て各国の席順を決めるということは非常に重大な問題であって、外交史上にも席順の上下を争い席を蹴って退去した例もある。
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  • 1926, 牧野信一, 冬の風鈴:
    「おべんとうを食ふだあ! おべんとうを食ふだあ!」と、日々駅夫の呼び声を真似て、呼び慣れてゐるヒナリ声でわめきたてながら靴先きをもつてポンポンと母親の脚のあたりを蹴り飛ばした。
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  • 1927, 宮本百合子, 牡丹:
    幸雄が藻掻けば藻掻くほど、腕を捉えている手に力が入ると見え、彼は顔を顰め全身の力で振りもぎろうとしつつ手塚と医員とを蹴り始めた。
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  • 1928, 岡本綺堂, 妖婆:
    三町目谷の坂下へ来かかると、麹町通りの方から雪を蹴るようにして足早に降りて来る人々があった。
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  • 1929, 小林多喜二, 不在地主:
    伴は着物をまくって棒杭のような日焼けした、毛むじゃらの脛を出して、足をいたずらにブラブラさせたり、石を蹴ったりして歩いていた。
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  • 1930, 国枝史郎, 十二神貝十郎手柄話:
    こう囁くと貝十郎は、立ち木の一本へ手をかけて、足で土塀を蹴るようにした。
    When he heard the them murmer thus, Baijūrō put a hand to a branch of a standing tree and seemed to kick up the earthern wall with his foot.
  • 1931, 黒島伝治, 国境:
    また、きしきしという軋りが聞えて、氷上蹄鉄を打ちつけられた馬が、氷を蹴る音がした。
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  • 1932, 杉田久女, 女流俳句を味読す:
    第三句では、あばれ独楽という大胆直明な言葉で、落葉を蹴らしつつ奔放に廻り狂い、やがて速度をゆるめて落葉の中に静止して仕舞う迄の動作が写されている。
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  • 1933, 海野十三, 崩れる鬼影:
    私は老婦人の傍から立ち上ると、室の扉を蹴って飛び出しました。
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  • 1935, 徳田秋声, チビの魂:
    咲子は言つたが、をばさんの良人のアパートの番人のをぢさんに蹴られたことを、今も不平さうに訴へるのであつた。
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  • 1937, 寺島柾史, 怪奇人造島:
    そのまま、鮮血に染って倒れるやつを、足をあげて、脇腹を蹴ると、急所をやられたか、そのまま息絶えた様子。
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  • 1938, 田中貢太郎, 幽霊の衣裳:
    気の強い蔦芳は、いきなり足で其の男を蹴っておいて二階へあがり、俳優のお仕着の浴衣を執って来たが、おりる時にはもう其の男は見えなかった。
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  • 1939, 岡本かの子, 越年:
    磯子は床を蹴って男のように拳で傍の卓の上を叩いた。
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  • 1946, 織田作之助, それでも私は行く:
    しかし、撲り、蹴り倒すといっても、今となってみれば妻の体に指一本ふれることも、けがらわしいもののように思えてならない。
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  • 1947, 坂口安吾, オモチャ箱:
    翌日早朝、手廻りのものを包みに人気のない小田原の街を蹴るが如くに停車場へ、上京して、宿六の弟子の大学生浮田信之を訪ねてワッと泣いた。
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  • 1948, 石川三四郎, :
    こんな呑氣な生活をしてゐる間に、山口孤劍君の『父母を蹴れ』といふ文章が朝憲紊亂罪に問はれ發行禁止の宣告を受けるに至りました。
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  • 1951, 岸田國士, 秋の雲:
    熊川忠範が、耳をすますのと、棟領が、席を蹴るやうにして起ちあがるのと同時であつた。
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  • 1952, 中井正一, :
    この六十日、合理、理論の合理にのみ身をよせて、抗辯したにもかゝはらず、戰爭に反對したことより以外に何の證據もないのに、打たれたり蹴られたりしてゐる自分にとつて、この雪の中に、又大空にみちみちてゐるこの秩序は、泌透る樣にこゝろを刺貫くものをもつてゐた。
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  • 1953, 佐藤垢石, 『七面鳥』と『忘れ褌』:
    大丈夫だ、とはいいながら、それでも四人はあたりを気にしながら坂の方を見まわしていると間もなく足駄の雪を蹴りながら傘を担いで登ってくる男を発見した。
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  • 1955, 邦枝完二, おせん:
    前つぼの固い草履の先で砂を蹴って、一目散に駆け出した伝吉は、提灯屋の角まで来ると、ふと立停って小首を傾げた。
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  • 1957, 久生十蘭, 肌色の月:
    「この運動靴の底に、エビ藻とフサ藻が、躙りつけたようなぐあいになってこびりついている……湖や沼の岸にある淡水藻はアオミドロかカワノリ……エビ藻やフサ藻は、湖水の中心部に近いところに生えているのが普通だ……どうしてこんなものが靴底についたか? 深く沈んで、湖底を蹴りつけたからだとわれわれは考えるので、岸に近いところで落ちこんだという説には、承服しにくいのです。
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