Citations:残虐
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Japanese citations of 残虐
- 1906, 新渡戸稲造, 武士道の山:
- 野猪の族と異りて、放肆なる残虐また悪戯を楽しみとせずといえども、なおその限られたる勢力を行わんことを喜びとなし、傲岸尊大にして、子分に対しての親分たるを好む。
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- 1914, 永井荷風, 江戸芸術論:
- 北斎、国貞、国芳らの画家に至つてはそれらの画題は忽ち平凡となり最初春章の門人|春英の作中に見たる幽霊の図の如きも文政天保度の画家にあつては実に残虐を極むる血塗れの半死人にあらざれば満足せられざるに至れり。
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- 1915, 与謝野晶子, 鏡心灯語 抄:
- 何故に二夫に見えてならないかという説明を附せず、無条件にこの倫理に従わしめようとした点において、先ずこの倫理は人間の意志を無視することの残虐を敢てしている。
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- 1918, 有島武郎, 小さき者へ:
- お前達が少し執念く泣いたりいがんだりする声を聞くと、私は何か残虐な事をしないではいられなかった。
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- 1919, 菊池寛, ある抗議書:
- 私は、私達の一家の運命に、残虐な打撃を与えたその男の顔を、一目見たいと思って、わざわざ傍聴に参りました。
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- 1920, 牧野信一, 若い作家と蠅:
- 逃げなかつたら彼はもう一度やつたに違ひない、(子供のやうな軽い残虐と、命中を無意識に望むだらしかつた。
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- 1923, 横光利一, 日輪:
- 彼女の澄み渡った瞳の底から再び浮び始めた残虐な微笑は、静まった夜の中をひとり毒汁のように流れていた。
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- 1925, 北原白秋, フレップ・トリップ:
- 沿海州から北樺太へ、北樺太から国境を越えて、どうにかバルチザンの残虐から逃れおおせたものでもあろうか。
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- 1926, 葉山嘉樹, 海に生くる人々:
- 『おれは燕になりたい』と、だれかが残虐な牢獄の窓にすがって思わなかっただろうか。
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- 1927, 岡本綺堂, 女侠伝:
- 崔と周とは同じような境遇で、おなじような年頃であるから、自然双方が親密になって、そのあいだに恋愛関係が生じて来ると、眼のさとい李は忽ちにそれを看破して、揃いも揃った恩知らずめ、義理知らずめと、彼はまず周に対して残虐な仕置を加えた。
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- 1928, 折口信夫, ごろつきの話:
- 譬へば、日本の芝居には、濡れ場・殺し場など言ふ、残虐な或は性欲的な場面が少くない。
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- 1929, 小林多喜二, 蟹工船:
- そして自分達の毎日の残虐な苦しさが、何か「英雄的」なものに見え、それがせめても皆を慰めさせた。
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- 1934, 海野十三, 恐怖の口笛:
- まず、目につくのは、鋭い刃物で抉ったような咽喉部の深い傷口――うん、やっぱりさっき口笛が聞えたとき、残虐きわまりなき吸血鬼が出たのだ。
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- 1935, 夢野久作, ドグラ・マグラ:
- ……どこかに潜み隠れている、正体のわからない、冷血兇悪な精神病患者……其奴が描きあらわした怪奇、残虐を極めた犯罪の記念品……そんなものを次から次に見せ付けられて、思い出せ思い出せと責め立てられるのではあるまいか。
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- 1936, 神西清, 母たち:
- 私についていへば、私は嗣二が母に加へる様々の残虐によつて間接には傷つけられたが、直接彼に傷つけられはじめたのは数年後のことだつた。
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- 1945, 太宰治, お伽草紙:
- どんな極悪人でも、自分がこれから残虐の犯罪を行はうといふその直前に於いて、山水の美にうつとり見とれるほどの余裕なんて無いやうに思はれるが、しかし、この十六歳の美しい処女は、眼を細めて島の夕景を観賞してゐる。
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- 1947, 坂口安吾, 二流の人:
- 日本軍の過ぐるところ、残虐きはまり、韓民悉く恐怖して山中に逃避し去り、占領地域に徴発すべき物資なく、使役すべき人夫なく、満目たゞ見る荒蕪の地、何の用にも立ち申さぬ。
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- 1949, 宮本百合子, 平和をわれらに:
- 「暁に祈る」吉村隊の身の毛もよだつ残虐行為は、正義のために裁かれなければならないと云いながら、近藤鶴代外務次官はその口で、太平洋同盟を云っている。
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- 1950, 久生十蘭, 新西遊記:
- 見せかけのむごたらしさに眩まされるようなこともなく、客観的な残虐さに酔い痴れるようなこともない。
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