Citations:俯く
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Japanese citations of 俯く
- 1900, 泉鏡花, 湯女の魂:
- 例のごとくふわふわと両三度土間の隅々を縫いましたが、いきなり俯けになっているお雪の顔へ、顔を押当て、翼でその細い項を抱いて、仰向けに嘴でお雪の口を圧えまして、すう、すうと息を吸うのでありまする。
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- 1902, 正岡子規, 病牀六尺:
- そのほか、蓮の葉を一枚緑に画いて、傍らに仰いで居る鷺と俯いて居る鷺と二つ画いてあるが如きは、複雑なものを簡単にあらはした手段がうまいのであるが、簡単に画いたために、色の配合、線の配合など直接に見えて、密画よりはかへつてその趣味がよくあらはれて居る。
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- 1905, 小栗風葉, 深川女房:
- 「ふむ!」とばかり、男は酔いも何も醒め果ててしまったような顔をして、両手を組んで差し俯いたまま辞もない。
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- 1908, 石川啄木, 天鵞絨:
- 女中奉公しても月に賄付で四円貰へるから、お定さんも一二年行つて見ないかと言つたが、お定は唯俯いて微笑んだのみであつた。
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- 1910, 木下杢太郎, 京阪聞見録:
- 餘りに年の寄つた銅色の顏の老爺が火鉢の縁を指先で撫でながら何も知らぬやうに俯いてゐた。
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- 1914, 上司小剣, 鱧の皮:
- 毛糸の弁当嚢を提げて、「福島さん学校へ」と友達に誘はれて小学校へ通つてゐた姪の後姿を毎朝見てゐたのは、ツイ此頃のことのやうに思はれるのに、と、源太郎はまださう思つて、聟養子を貰つた婚礼の折の外は、一度も外の髪に結つたことのない、お文の新蝶々を、俯いて家出した夫の手紙に読み耽つてゐるお文の頭の上に見てゐた。
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- 1918, 宮本百合子, 親しく見聞したアイヌの生活:
- アイヌ婦人は柔順で人に話しかけられても、じっと俯きながら聞かれただけの事を返事する位であります。
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- 1919, 中戸川吉二, イボタの虫:
- 俯いて歩いてゐると、疲れ切つた目の中に、チクチクとしみるやうに雪が光つた。
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- 1920, 菊池寛, 真珠夫人:
- その美しい眼を心持泣き脹して、雪のやうな喪服を纏うて、俯きがちに、しほたれて歩む姉妹の姿は、悲しくも亦美しかつた。
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- 1925, 小酒井不木, 髭の謎:
- 白井刑事は、どきまぎしながらも、とにかく、俊夫君の言うままに手錠をかけますと、斎藤は死人のように青白い顔をして俯いていました。
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- 1927, 幸田露伴, 華嚴瀧:
- 仰げば蓋を張つたやうな樹の翠、俯けば碧玉を溶いたやうな水の碧、吾が身も心も緑化するやうに思はれた。
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- 1930, 直木三十五, 近藤勇と科学:
- 旗本は、一固まりになって、小さく、無言で俯いていた。
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- 1931, 海野十三, 国際殺人団の崩壊:
- 古ぼけた大きな折鞄を小脇にかかえて、やや俯き加減に、物静かな足どりをはこんでゆく紳士がある。
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- 1935, 徳田秋声, 仮装人物:
- 継母というのが、もと葉子が信用していた召使いであっただけに、頭から莫迦にしてかかっているものらしく、何か松川の後妻としての相手と交渉するというよりも、奥さんが女中を叱っていると同じ態度であったが、憎悪とか反感とか言った刺や毒が微塵もないので、喧嘩にもならずに、継母は仕方なしに俯き、書生たちは書生たちで、相かわらずやっとる! ぐらいの気持で、笑いながら聞き流しているのであった。
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- 1939, 折口信夫, 死者の書:
- 忙しく拾はうとする姫の俯いた背を越して、流れる浪が、泡立つてとほる。
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- 1940, 田中英光, オリンポスの果実:
- と称する、朝の駆足をやって帰ってくると、森さんが、合宿傍の六地蔵の通りで背広を着て、俯いたまま、何かを探していました。
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- 1947, 原民喜, 小さな村:
- 雨の日でも同じ場所で同じ手仕事をつづけてゐたが、その俯き加減の面長な顔には、黒い立派な口鬚もあり、ちよつと、トーマスマンに似てゐた。
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- 1956, 橘外男, 墓が呼んでいる:
- ぼんやりと俯いて歩いていましたから、もう、娘が何を聞いたかを、覚えておりません。
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